デキる人は環境をどのようにコントロールしているのか?

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ドイツの社会学者のクルト・レヴィンは、
「人の行動はその人個人の特性と環境との相互作用の結果である」
として、人の行動法則を以下のように表しています。

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【レヴィンの行動法則】

B=f(P,E)

B (Behavior;行動)
P (Personality;個人の特性):人間性、性格、個性、価値観、能力など
E (Environment;環境):人間関係、置かれている状況、組織文化など

————————–

 

同じ人でも置かれた環境によって行動は変わってくるし、
同じ環境でも人によって行動は変わってくるという意味です。

ということは、良き行動を起こすためには、個人の意識や
能力に加えて、良き環境が重要な意味合いを持つことになります。

 

職場における環境の代表例は上司です。
自分の意思で転職や社内異動が可能な場合は別として、
一般的には部下は上司を選ぶことはできません。

同様に、ほとんどの日本企業では上司は部下を選ぶこともできません。
人事部が決めた配属と異動によって、部下が決まってしまうからです。

この点は、部門責任者に部下採用の決定権がある米国企業とは大きな違いです。

 

職場における上司、部下といった環境は自分の意思では
コントロールできないため、私たちは与えられた環境(E)のもとで
能力(P)を最大限発揮させながら、
より良い行動(B)をとろうとしています。

 

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人的環境をコントロールする
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ただし、環境には自分ではコントロールできるものあります。

そして、仕事がデキると言われる人は、
このコントロールできる環境を上手くつくり上げています。

 

たとえば、
尊敬できる人、学ぶことができる人、得るものがある人……、
俗な言葉ですが「上質の人」と交流する人的環境を
ちゃんとつくりあげています。

 

社外の人とランチをとりながら情報交換をするのは、
外資系のエグゼクティブ連中の日常です。

最初は幅広く交流していても、ランチを繰り返していくうちに
誘うのをやめたり、誘われなくなったりしながら、
徐々に対象者が取捨選択されていきます。

 

また、会社の枠を超えて、リスペクトしあえる者どうしが
集まって夕食を楽しむこともよくあります。

仕事や生き方に関することや、
それぞれがチャレンジしていることを語り合ったりするので、
同期会やOB会などのどちらかというと懇親目的の会合とは、
また違った刺激を受ける場となります。

その延長線上で、非公式に情報を交換したり
ときには意見を聞いたりアドバイスをもらったり。

 

彼らは、このようにして視野を広げたり思考を深めたりすることで
自分の行動をより良いものにするために、
質の高い人的環境をつくり上げているのです。

 

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将来を占う「ランチの法則」
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これに関連して、外資系企業で働いていた時代に、
仲間内で冗談半分に盛り上がっていた話があります。

 

「自分の将来の年収は、普段一緒にランチをとっている人たちの
年収の平均に収束していく」というもの。

つまり、自分より年収の高い人たちとランチをとっていれば、
いずれ自分の年収もその人たちのレベルに上がっていくし、
逆に、自分より低い人とばかりランチをとっていれば、
いずれ自分の年収もそれなりになってしまうということです。

 

前者の場合は、自分より年収が上の人、つまり市場価値の高い人たちから
たくさんのものを得ることができる。

さらに、彼らが忙しい時間を割いてまでランチを付き合ってくれるだけの
価値ある自分でいるよう、より一層自分に磨きを掛けようと努力する。

 

その結果、この先、仕事で結果も出していけるでしょうし、
それに伴い年収も徐々に彼らの水準に近づいていく

――― こういう理屈です。

 

逆に、自分より年収の低い人、つまり市場評価が下の人としか
付き合えないような魅力しかないと、仕事でたいした成果を出せずに
周りの人ほど年収も伸びず、徐々に彼らと同じ水準に落ち着いてしまうのです。

 

大笑いしながら語り合っていた話ですが、
良好な人的環境をつくるという点からは一理あると思います。

 

なお、誤解なきよう申し添えておきますが、年収の多寡はあくまでも
ビジネスパーソンとしての市場価値の一面であり、人としての価値とは
全く別物です。念のため。

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