櫻田毅オフィシャルブログ

ジョブ型雇用が突きつけるもの

2021年3月18日

 

日本企業の雇用システムが、メンバーシップ型雇用から
ジョブ型雇用へと移行する兆しがあります。

全体から見るとまだ一部ですが、富士通、日立製作所、
KDDI、三菱ケミカルなどの大企業などがその方針を打ち出しています。

背景には、第4次産業革命と呼ばれる技術革新による社会変化において、
専門性の高い人材の確保なしには生き残ることはできないという
経営者の危機感があります。

 

これまでの日本企業は、大企業を中心に新卒一括採用で事後的に配属を決める、
すなわち、人に仕事を当てはめるメンバーシップ型採用をとってきました。

採用後も、異動やジョブ・ローテーションなどによって、
幅広い経験をしながら社内人脈を築いていく人事政策です。

これは、年功序列と終身雇用とともに、高度成長期における
規模拡大の事業戦略に対応した、人材を丸抱えで確保するための雇用システムです。

 

しかし、これは日本独特のシステムであり、欧米をはじめとする日本以外の国では、
仕事に人を当てはめるジョブ型雇用が一般的です。

職種と役職ごとにジョブディスクリプション(職務記述書)で
仕事の内容と報酬額を定義して、その要件に合致する能力のある人材を、
新卒、中途の区別なく採用します。

採用後も、同一職種内の昇格はあっても、原則として
本人の同意なしに他の職種へ異動することはありません。

外資系企業の日本法人も、ほぼすべてそのシステムです。

 

そういう意味で、一部の日本企業のジョブ型雇用への移行は、
高度成長期に形作られた日本独特のシステムが時代と合わなくなってきたため、
世界標準へと修正されていると考えることができます。

前出の富士通や日立製作所などのグローバル企業の経営者も、
「今回の移行は世界標準に合わせるためでもある」と明確に述べています。

 

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管理職でもスペシャリスト
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そのようなジョブ型雇用のシステムで起きるのが、
専門能力を尺度とした人材価値の再評価です。

スタッフか管理職かにかかわらず、
全社員が特定分野の高い専門性を有していること
――すなわち、全員がスペシャリストであることが求められるのです。

 

ジョブディスクリプションでも、
たとえば次のようなトーンで記述されます。

 

ジュニアスタッフの場合
⇒ ○○に関する3年程度の経験を有して・・・・・・

マネジャー(課長クラス)の場合
⇒ ○○に関する高度な知識と経験を有し・・・・・・

マネジングディレクター(役員クラス)の場合
⇒ ○○に関する高度な知識と経験に加えて、
当該ビジネスに対する卓越した先見性と迅速な実務展開力を有し・・・・・・

 

現に、私が勤めていた米国企業でも、マネジャーはもちろんのこと、
部門を担当するディレクター(部長クラス)や
マネジング・ディテクター(役員クラス)も、
全員がスペシャリストとしての高い専門性を発揮して実務の先端に立っていました。

そこには、日本的なゼネラリストの居場所はありません。

一見、ゼネラリスト・ポジションのように見える社長やCEOであっても、
株主からは「企業経営のスペシャリスト」としての力量が厳しく問われます。

しかも、急速な時代の進化によって、予期せぬ環境変化が次々と起きる時代です。
会社と個人の関係も希薄化していくでしょう。

そうすると、市場に出ても通用する人(市場価値の高いスペシャリスト)
である必要があります。

 

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あなたの「売り」はなんですか?
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一部の企業で始まったジョブ型雇用への移行は、
今後、日本企業に必然的に起きていく構造的な変化の始まりのように思います。

企業で働く組織人としての私たちは、市場価値の高い人材であり続けるために、
仕事で成果を出すことはもちろんのこと、
自分の専門性をより一層高めていくことを強く意識する必要があります。

 

そのような問題意識を持つための一歩として、
次の質問にあなたはどのように答えるかを考えてみてください。

 

 

あなたの「売り」はなんですか?

 

 

「東南アジアでの食品営業のスペシャリスト」
「金融分野の企業法務の専門家」などのように、
○○のスペシャリスト、○○の専門家という表現で
自分をアピールできる言葉を定義してみます。

さらに、それが「自称」ではなく、
部門内で通用するものかどうか、
部門を越えて社内でも通用するものかどうか、
社内だけでなく社外でも通用するものかどうか。

これで大まかな自分の市場価値を推測することができます。

このときに注意すべき点は、所属企業や役職などの肩書きを
すべて外して考えてみるということです。

専門能力による人材の再評価では、
どこの会社に勤めているとか肩書きが何であるかなどは関係なく、
「一個人として何ができるか」が問われるからです。

 

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意図性のある成長を
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もし、まったく「売り」が思いつかなかったとしても、
あるいは、自分の「売りはまだまだだ・・・・・・」と
思ったとしても心配することはありません。

自分の市場価値を高めていくための効果的な考え方と
方法をしっかりと習得しながら、
いまからでも意図性のある成長に取り組んでいけばよいのです。

 

では、どのようにして???」

 

この問いに対する私なりの回答を、いま新刊として執筆中です。

造船会社、証券会社、米国資産運用会社、そして人材開発の仕事
――――たとえ職種が違っても、たとえ管理職や経営陣であったとしても、
一貫して専門性を有したスペシャリストとしてビジネスの最前線に立ってきた
私の経験が、少しでもお役に立てばと思っています。

 

急速に変化していく時代において、
私たちはどのようにして自分自身の人材価値を高めていくべきか?

 

4月末~5月頃に書店に並ぶ予定です。

 

 


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