外資系の企業で外国人たちと一緒に働いていると、
いろいろと面白いことがあります。
ある日、米国本社から出張してきた幹部の一人Kさんが、
「サクラーダサン、シツモン!
日本人はどのようにして日本語の文章をパソコンで打てるの?」
アルファベットしか並んでいないキーボードから、
どうやって漢字が生み出されていくのか、
米国人の彼女は不思議でしょうがないと言うんです。
「メッチャ、知りたいわ!」
そこで、パソコンを前に実演して見せたところ、
「読みをローマ字で打って漢字に変換する」
という発想が斬新だったらしく、驚くやら感心するやら、
「自分にもやらせろ」で
キャッキャ言いながら楽しんでいました。
このように、日本人にとっては当たり前でも
外国人にとっては不思議なことがあります。
特に欧米人は「漢字」に興味津々です。
見た目のクールさだけでなく、
一つ一つの文字が意味を持っていることに驚きます。
「サクラダ」ってどういう意味? と訊かれるたびに、
サクラ(櫻)はcherry blossomで、ダ(田)はfield 、
つまり「櫻の花が咲き誇っている田園とでも言いましょうか……」
と説明をすると「オー、グレイト!」です。
そこで、米国本社出張の時に筆ペンと小型の色紙を持参して、
会う人会う人、相手の名前を漢字で書いてプレゼントしたところ、
これがバカウケ!
たとえば、トム・ライアン氏には『登夢頼安』
「登夢(トム)は夢に向かって登っていく人、
それから頼安(ライアン)は信頼して安心できる人
――― おおっ、まさにあなたのことです!」
それを聞いたトムは、盆と正月とハロウィンとイースターが
まとめてやってきたような満面の笑みで、
「ワーオ、グレイト!お前は何ていい奴なんだ」。
これは、省エネかつ効果的に
外国人と仲良くなるための必殺ワザです。
ビジネスでも同じようなことがあります。
自分にとっては当たり前でも、
相手にとってはありがたがいもの
すなわち、自分が認識している価値と
相手が認識している価値との間にギャップがあるとき、
そこに、省エネでかつ効果的に
ビジネスを成立させることができる可能性があるということです。
「認識価値ギャップ」の利用です。
現に、サンフランシスコの有名な観光地「ピア39」で、
似顔絵を描いて商売をしている人の横で、
色紙に漢字で名前を書いて商売をしている人を
本当に見かけたのですから。