新型コロナウイルスにより、
ほとんどの人が生活や仕事に大きな影響を受けています。
経済的に厳しい状況に追い込まれている人も少なくありません。
このようなときは、人の行動にも様々な変化が起きてきます。
活動自粛に反するような行動が報道されると、
ネット上には激しいバッシングのコメントがあふれかえり、
大量の「いいね」がつきます。
「人を非難するのは止めよう」という、
いつもなら共感を生むような発信に対してさえ、
「上から目線」「金持ちの戯言」などの予想外の炎上が起き、
悪意の感情まで感染拡大しているかのようです。
心身の疲労によって、
人の「行動規範のコンパス」に狂い生じているのかもしれません。
そこで、私たちは健全な思考と行動を取り戻すために、
自分のコンパスを正常化する必要があります。
そこで今回は、
エグゼクティブコーチであるマリリー・G・アダムス氏の
著書『すべては「前向き質問」でうまくいく』を参考に、
コンパスの修正法を紹介します。
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目の前にある2つの選択肢
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人との関係において何かが生じたとき―――
たとえば、相手の考えを聞かされた、何かを教えてくれた、
情報をくれた、批判された、忠告された、望まぬことをされた、
人は2つの選択を迫られます。
『批判者』であるか『学習者』であるかという選択です。
1つ目の『批判者』であることを選択した人は、
内容の如何にかかわらず頭の中にこのような言葉が浮かびます。
・それは間違っている
・そんなこと知っている
・その方法は自分には使えない
・だから、この人はダメなんだ
・どう責任をとるつもり?
・あなたのせいでうまくいかない
『批判者』は自分の知識や経験、価値観や立場などに照らし合わせて、
相手が正しいか正しくないかを判断しようとします。
そこで違和感を覚えたり、受け入れがたい感情を得たりすると、
自分を正当化するために相手を否定します。
たしかにその瞬間、相手に対する優位性を感じて
気分的にスッキリしたりはしても、
自分の成長という点からは何のプラスもありません。
『批判者』は常に相手に対してトゲのようなベクトルを向けているため、
周りの人は居心地の悪さを感じて徐々に離れていいきます。
成長の機会を失っているだけでなく、人間関係をも壊しているのです。
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『学習者』として自分へ問いかける
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これに対して、2つ目の選択肢の『学習者』であることを選んだ人は、
頭の中に次のような自分への問いかけが浮かびます。
・誰が悪いかではなく、いま自分ができることは何だろうか?
・自分とは考えが違うが、そこから何か学べないだろうか?
・立場は違うが、どう工夫すれば自分に当てはめることができるだろうか?
・その中に自分の活動へのヒントはないだろうか?
・相手に対して何ができるだろうか?
・この時間を、もっと意味あるものにするにはどうしたらよいだろうか?
相手の話や姿勢に違和感を覚えたり、
すぐには受け入れがたい気持ちになったとしても、
相手が正しいかどうかを評価するのではなく、
「自分が得られるものが何か」を自分に問いかけるのです。
ベクトルを自分に向けています。
その結果、新たな気づきが起きる、視野が広がる、思い込みを修正する、
相手の気持ちに気づく、多面的な見方を知るなどの小さな学習が起きます。
すなわち、少しだけ成長しているのです。
相手にとっても、自分が否定されることなく、
むしろ人の成長の役に立っていることを感じるため、
『学習者』の周りには人が集まってきます。
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コンパスを修正するための習慣
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できるだけ『学習者』でありたいと思ってはいるのですが、
私も含めて人は臆病で、うっかり者で、見栄っ張りで、自己本位です。
自分に不利益が生じたりネガティブな環境に直面すれば
するほど、つい『批判者』を選択しがちです。
そして、不用意な言動をとってしまう――
すなわち、あるべき行動規範のコンパスを狂わせてしまうのです。
周りの人が「おまえ、いま批判者だぞ」などとは教えてくれませんので、
自分で気づいて『学習者』であることを選択し直す必要があります。
そのようなときのために、
次の質問を自分に投げかける習慣を持っておくとよいでしょう。
私はいま『批判者』だろうか、それとも『学習者』だろうか?
最初は面倒くさいかもしれませんが、
アブナイ局面で自然とこの質問が頭に浮かんでくるようになるとしめたものです。
そういうときはだいたい『批判者』を選択しているからです。
それに気づいたのなら、あたらめて『学習者』を選択し直せばよいでしょう。
つい狂いがちな「行動規範のコンパス」を修正して、
自分の成長を促し、良好な人間関係を築くためのパワフルな習慣だと思います。
参考文献:『すべては「前向き質問」でうまくいく』
(マリリー・G・アダムス著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)
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