やらなければいけないと分かってはいるけれど、やる気になれず、つい先延
ばしにしてしまう―――よくありますよね。
で、先に延ばせば延ばすほど、ますますやる気を失って、「もう、いいや」
となることも。
さて、この困った状況をどう打開すればよいのでしょうか?
やる気を出す方法は数多く提唱されています。ほんの一例ですが、
・やることで手に入るものをイメージして気分を盛り上げる。
・やらなかったことで失うものをイメージして自分にプレッシャーをかける。
・やることを誰かに宣言してしまう。
・決意表明として紙に書いて貼っておく。
・やる日を決めてスケジュールに入れてしまう。
・やったときの自分へのご褒美を決めておく、などなど。
それぞれ一理あると思いますが、私は経験的に次の方法が最も効果的だと思
っています。
『やる気を出す最強の方法は「少しだけ」やること』
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「行動」が脳に刺激を与える
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たとえば、あなたは次のような経験がないでしょうか?
散らかっている部屋を、「面倒くさいけど少しだけ」と、しぶしぶ片付け始
めると、気がついたら次々と片付けていた。
資格試験のテキストを「取りあえず開くだけ開いたら」、面倒くさいと思っ
ていた勉強をそのまま始めていた。
かったるいなと思いながらも「取りあえず日付だけでも」と報告書を書き始
めたら、いつのまにか半分書き上げていた。
これらはいずれも、やる気が出てきたからやったのではありません。「少し
だけ」で、無理やり最初の小さな行動を起こしたら、その後にやる気が出て
きたのです。
「やる気」という感情は、簡単にはコントロールできません。もし、できる
なら、「よし、やる気を出そう!」と念じればよいのですが、現実は違いま
すよね。
しかし、「少しだけ」と思って、最初の「行動」を起こせば、それが脳を刺
激して、小さな「やる気」がわいてくるのです。その小さな「やる気」が次
の行動を生み、やる気と行動の好循環となり、気づいたら作業がかなり進ん
でいた、ということになります。
気合いで「やる気」を出すことは難しくても、行動で「やる気」を出すことは
可能なのです。
私も、原稿を執筆する気分になれない日であっても、「取りあえず1行だけ
でも」と書き始めると、徐々に執筆モードに入って筆が進んでいきます。
脳の仕組みの研究者・東京大学の池谷裕二教授は、この人の仕組みを「何事
も始めた時点で、もう半分終わったようなもの」と言い表しています。
決めたことを意思の力で計画通りに実行できる人ばかりではありません。や
る気が出ない自分が情けない、と頭を抱えてしまうこともあるでしょう。
そのようなときこそ、「少しだけでも」「取りあえず」ってな軽いノリで、
最初の小さな行動だけ起こせば、後は、脳が勝手に「やる気」モードになっ
てくれます。
一気に全部やろうとする意思の力に比べれば、「少しだけ」行動を起こす
ための意思の力は、はるかに小さくて済みます。
神様が人に授けてくださった、このありがたい機能を存分に利用しましょう。
『やる気を出す最強の方法は「少しだけ」やること』です。