先日、転職支援会社の社長さんとランチをとりながら、今、企業がどのよう
な人材を求めているのかという話になりました。
彼が言うには、「VUCAの時代を生き抜ける人」とのこと。
ここ数年、マスコミがブーカ、ブーカと取り上げたため、すっかり浸透した
「VUCA」です。
VUCAとは、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複
雑性)、Ambiguity(曖昧性)という、今の時代を象徴する4つの言葉の頭文
字をとったものですね。
明確な正解があって、上から言われたことを忠実にやりさえすれば結果が出
て給料も上がった時代は完全に終わりました。上だって何が正解か分からな
い時代です。
だから何もできないと嘆くのではなく、そのような時代変化を受け入れなが
ら、あるいは逆手にとって、工夫・挑戦していく力を企業は求めているのです。
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「VUCAの時代を生き抜ける人」とは?
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「VUCAの時代を生き抜ける人」というのは、たとえば、こういう人のこと
ではないでしょうか。
急速に変化していく環境において、時代遅れの発想に固執している人ではな
く、今の技術、今のビジネス、今の顧客を受け入れながら、自分自身を変え
ていける人。
不確実性を恐れて、「あれはどうなんだ、これはどうなんだ」と懸念点ばか
りを述べる人ではなく、「やってみりゃ分かるわ」と果敢に挑戦しながら正
解を見つけていこうとする人。
そもそも解明できない複雑さを解明しようと、ノイズだらけの情報を延々と
集め続ける人ではなく、本当に重要なことが何かを見定めてスパッと決断で
きる人。
曖昧さが許せず、とにかく白黒つけなければ気が済まない人ではなく、人に
もモノにもビジネスにも、元々グレーゾーンがあることを前提に、「まあ、
やりながら調整していきましょうや」と動ける人。
実際の職場を見渡すと、上で述べた「○○の人ではなく」側の人であふれか
えっています。
「将来を見通せ」「もっと確実性を増せ」「とにかく情報を集めろ」「失敗は
許さない」といった、分かりやすい正解が存在した一昔前の思考で凝り固ま
っている人たちです。
その結果、不安材料がどんどん増えてきて、意思決定も行動もできずに、あ
らゆるタイミングを逸しています。
見通せない将来ではなく「今」を正しく理解し、不確実を受け入れつつも、
本質的な情報を見極めて、試行錯誤を前提に決断して行動する―――この
ような人材が圧倒的に不足していることに企業が危機感を持っているのです。
「環境が変わったら、やり方も変える」
2016年の世界経済フォーラム(ダボス会議)で「VUCA」という言葉が大き
く取り上げられてから8年。このあたりまえのことが、今、問われています。