先週、仕事で行った名古屋で乗った
タクシーの運転手さんから、
面白い話を聞かせてもらいました。
60代半ばの運転手さん、
数日前にフィリピンから帰ってきたばかりとのこと。
「旅行ですか?」と聞いたら、
「いや、3ヵ月ほど住んでいたんです」。
なんでも、8年前にフィリピンに土地と家を買って、
毎年3ヵ月程度は現地で暮らすとのこと。
理由は、老後の生活対策!
都市部から離れた田舎なので物価が日本の1/5!
日本で受け取る月20万円ほどの年金が、
現地では5倍の100万円相当の価値になる。
往復の飛行機代を入れても、
一定期間現地に住むことにより、
実質的な生活費が少なくて済むわけです。
現地にいるときは何をやっているかというと、
飼っている豚の世話。
時々出荷して、定期的な収入もある。
日本にいるときは、
飼育を信頼できる人に任せている。
あと少し日本で働いて、
その先はできるだけフィリピンに住もうと思っている。
日本は好きだが、
この先、年金だけでは生活できそうもないので、
思い切って決めたんです。
独り身ですから気が楽です。
日本人の友人もいるし、
8年もたつとフィリピン人の友人も何人もでき、
全然寂しくはないです、とのこと。
いや、何とも、
たくましい生き方だなあと思いました。
長寿化で、思いっきり長生きする
「100歳人生」が現実味をおびてきています。
んが、年金だけでは生活できそうもない、
で、貯蓄を取り崩していく、
しかし、長生きしすぎると貯蓄が底をつく、
で、生活に困窮する可能性が高くなる…
「経済的な長生きリスク」が
この先、顕在化してきます。
んじゃ、どすりゃええんだ??
日本人の歴史上、体験したことのない長寿社会に
突入していくわけですから、前例なんてありません。
ただ、言えることはシンプルです。
生涯収入を大きくして、
生涯支出を小さくする。
あたりまえのことです。
どのようにするのかは、
個々人が真剣に考えていくしかありません。
この運転手さんの場合は、
70歳近くまで働いて豚を飼うことで
生涯収入を少しでも大きくし、
住む場所を変えることで、
生涯支出をかなり小さくしたんです。
理にかなっています。
厳しい社会環境から目をそらさず、
自分ができる範囲で人生の選択をして、
それを実行しているんですね。
たまたま乗り合わせたタクシーで、
ひとりの人生の決断を聞かせてもらう機会に出会えたことに
「おーし、今日も朝からついとるわ!」
と思いながら訪問先企業に向かった名古屋の朝でした。