なぜ採用面接で「運がいいか?」と質問するのか

├偶然のマネジメント

 

外資系投資銀行の知人Aさんは、採用面接のときに必ず、「あなたは、運がいいと思うか?」と質問するそうです。「はい」と答えた人には、具体的な経験をさらに質問する。
理由は、運がいいと思っている人は行動力があるからとのことです。

「棚からぼた餅(棚ぼた)」ということわざがあります。努力していないのに思いがけない幸運を手にするという意味です。ただし、落ちてきたぼた餅を手にできるのは、棚の下まで行くという行動をとった人です。
このように、世の中のあちこちに散らばっている運のタネに「たまたま」出くわすことができる人は、それだけ行動しているのです。

 

-----------
小澤征爾氏が世に出た幸運とは?
-----------

2024年に亡くなられた世界的な指揮者の小澤征爾氏が、一躍知名度を高めたのは、フランスのブザンソンで開催された国際指揮コンクールでの優勝です。
音大を卒業してすぐの同氏が、優れた音楽を吸収しようと、スクーター1台でヨーロッパ放浪の旅をしていたとき、「たまたま」現地の人から受けてみたらと勧められたのがきっかけだそうです。
応募要項のフランス語に苦労しながらも、何人もの人に助けてもらいながら何とかエントリーでき、その結果が優勝です。それがきっかけで、巨匠カラヤン氏に師事することになります。
(『ボクの音楽武者修行』小澤征爾、新潮社より)

ここで大事なことは、小澤氏の「たまたま」は、実績も知名度もない若者が、ヨーロッパに音楽武者修行に出かけるという行動の延長線上にあるということです。
もちろん、本人の実力が伴ってのことですが、その行動がなければブザンソン優勝も、カラヤン氏との出会いもなかったでしょう。

投資銀行のAさんも、「運が良かった経験を聞くと、その裏には当人の行動力があることがわかります。ビジネスは行動力がものを言うのです」とのこと。

 

-----------
良質の人脈から「たまたま」が
-----------

良運に出会うための1つの行動が、信頼できる人とお互いに知人を紹介し合うことです。
自分が信頼している人を、信頼している人に紹介する。逆に、信頼できる人に、その人が信頼している人を紹介してもらう。
間を取り持ってくれた人を含めて食事をしながら、上質の学びを得ることができますし、上質の情報交換もできます。

実際に私も、紹介してもらった方が、「たまたま」イベントの講師を探していたので、ということで仕事をいただいたことがあります。
そこで、「たまたま」聞いた他業界の話が、執筆の大きなヒントになったこともあります。
あるいは、「たまたま」聞いたその方の生き様から強い影響を受けたこともあります。

いずれも、私にとっては「運良く」であり、その方たちとの出会いそのものも「運良く」です。

このようにして、信頼でつながる人脈ほど強いものはありません。人の紹介は「信頼のチェーン」だからです。相手が信頼できるからこそ、自分の信頼できる人を紹介できるのです。
裏を返せば、良質の人脈を持っている人ほど人の紹介には慎重です。自分の大切な人を、よく知らない人や打算的な人には絶対に紹介しません。
また、人に紹介を依頼してばかりで、自分は誰も紹介しようとしない人脈泥棒は、いずれ、この信頼のチェーンからはじき出されてしまいます。

その点を心にとどめた上で、良質な人との出会いを求めていけば、「良質のたまたまに運良く出会う」可能性が高まるのではないでしょうか。

拙著、『新 管理職1年目の教科書』シリーズでお世話になっている東洋経済新報社の方々も、ご縁のきっかけは信頼できる友人の紹介でした。私も運が良かった者の一人です。

 

お問い合わせ



東洋経済オンライン





ブログ新着記事
  1. なぜ採用面接で「運がいいか?」と質問するのか

  2. 一流の人ほど、相手の中の一流を見つける

  3. 偶然の要素が強いキャリアを自律的に築くには?

  4. 信頼と共感を得る「アリストテレスの説得術」

  5. 「ダブルメリット話法」で健全に上司をころがす

TOP
CLOSE