せっかくいいことに気がついても、
なかなかそれが実際の仕事や生活の中に生かされない、
ということがよくあります。
たとえば、何らかの経験をした後に
「これからは、もっと○○を意識したい」
と考えたりします。
「常に目的を意識したいです」
「強みを生かすことを強く意識したいと思います」
「相手の気持ちをもっと意識したいです」
こんな感じで……
ですが、
1週間もたつとそれがアタマから
きれいさっぱり消えてなくなっていたりします。
んで、不都合なことが起きてから
「あーー、やっぱり目的を意識すべきだったよな」
と反省したりもします。
「意識する」というのは、言うのは簡単でも
実行するのは簡単ではないのです。
そもそも、あらためて「○○を意識する」と考えるのは、
それまでそれを意識せずにやってきたからなわけで、
「○○を意識しない」が思考回路のデフォルトになっているのです。
人の脳には、身体を守るために
現状を維持しようとする保守的なメカニズムがあります。
そのこともあり、「意識する」と思っただけでは、回路のスイッチを
デフォルトから切り替えることが簡単にはできないのです。
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質問の形に変える
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では、どうすればよいのかというと、
「○○を意識する」を質問の形に変換するのです。
「目的を意識する」
↓
「自分はいま目的を意識しているだろうか?」
ちょっとした違いですが、
人は、穴があったら覗きたくなります。
紙が裏返してあれば表を見たくなります。
同じように、
質問されたら答えを考えたくなります。
自分で自分に質問をすることによって、
「いやー、意識してないわ」とか、
「意識はしているが、ちょっと待て、
それが本質的な目的なのか?」とか、
「目標を目的化しているかも・・・」など、
この場合は「目的」というキーワードを
中心とした思考が頭の中で動き始めます。
質問をトリガー(きっかけ)として、
「目的を意識する」という思考のスイッチが入ったのです。
「強みを生かすことを意識したい」
↓
「自分はいま、強みを生かしているだろうか?」
「相手の気持ちをもっと意識したい」
↓
「自分はいま、人の気持ちを思いやっているだろうか?」
他の「意識する」も、このように
質問の形に変換すればよいのです。
スティーブ・ジョブズが、
「もし今日が、人生最後の日だとしたら
いまやっていることをやっているだろうか?」
との質問を自分に発し続けていたというのは有名な話です。
「本当にやりたいことを意識する」などと比べて、
数倍の破壊力を持っています。
「○○を意識したい」と思ったとき、
せっかくのその思いをより実効性のあるものにするためには、
それを質問の形にして目につくところに貼っておくとよいでしょう。
その紙を見ながら自問自答を繰り返していると、
やがて「○○を意識する」ことが
思考のデフォルトに変わっていきます。
「質問の力」が意識を変えるのです。