昨年の秋、JAXAの一般公開で
筑波宇宙センターに行った時のことです。
国際宇宙ステーション(ISS)での、
宇宙飛行士の生活環境、という展示がありました。
初めて宇宙に行く飛行士にとって
結構過酷なのが、血液問題とのこと。
つまり、地球上では、
重力の影響でそれなりの量の血液が下半身にあるのだが、
無重力になると、それが全身に均等行き渡り、
頭に血が上った感覚になる。
これが、「なかなかのもの!」だそうです。
「体験してみよう!」というコーナーがあったので、
脊髄反射で飛びつきました。
傾斜角度がわずか6°の頭の方が低くなったベッドの上に
仰向けに寝るというだけのものです。
見た目にはほとんどフラットなんですが、
これで、下半身の血液が上半身に流れて、
ちょうど無重力にいるのと
同じような状態になるとのことです。
小学生ぐらいの子どもたちに交じって並んで、
順番がきたのでよっこらと横になってみました。
数秒後、
うーーーーっ、アッタマおもーーー!
わずか6°の傾斜でも、
下半身の血液がどばーっと頭の中に流れ込んできて、
すぐに、もう無理ムリ無理・・・と、ギブアップです。
なにを隠そう、
私の子どもの頃の夢は宇宙飛行士だったのですが、
こりゃ、ならなくてよかったなと。
でも、その時思ったのは、
100万回話を聞くよりもとにかく1回やってみる方が、
はるかによく分かるということです。
証券会社で、
機関投資家向けの情報開発の仕事をしていたとき、
「こんなんどうでしょうかね~」
と作ってみたアイデアを上司の所に持っていくと、
必ず返ってきた答えは、
「行ってみたら分かるやん」でした。
何日間もグダグダと考えるよりも、
お客様に直接ぶつけてみて生の反応を確認する方が、
速く確実に、役に立つものをつくることができる、ちゅうわけです。
ただし、同時に言われたことが、
「仮説を立ててから行けよ~」。
○○という理由で、このようなお客様の、
このニーズに応えることができるという仮説。
○○という理由で、
このタイプは食いつきがよくて、
こっちはそうでもないという仮説。
○○という理由で、
お客様の意思決定プロセスの
この部分に役に立つという仮説。
このように、自分なりの仮説を立てて、
『それが正しいかどうか』を検証しに行けということです。
お客様の反応が仮説通りであれば、
そのアイデアに至るまでの思考プロセスが
正しかったことが検証されたことになります。
そうでなければ、
どこに考え違いがあったのか、
これまた検証しやすくなります。
何も考えずにぼーっと行くよりも、
必要な情報を確実に得ることができますし、
仮説&検証の経験を繰り返すことで、
「当たり!」を出すための
思考力が鍛えられます。
やってみると、確かにそうなのです!!
仕事ができる人っていうのは、
このような学習パターンをいくつも持っているんだな!
と、当時、まだ若造だった私は、
上司への尊敬の念を一段と深めたものでした。