5月に長崎に行ったときに「出島」を訪れました。
江戸時代、鎖国中に築造された扇型の人工島で、
長さ190m、幅70m、面積1.3haで、
ちょうどサッカー・グラウンド2個分の広さですから、
居住区としてはめっちゃ狭いエリアです。
明治以降、埋め立てられて一旦姿を消すんですが、
平成になって本格的に再現・保存工事が始まり、
建物などを含めて徐々に昔の姿を取り戻しつつあります。
約200年にわたる鎖国の時代、
ここが唯一の海外との接点だったわけです。
出島があったおかげで日本人が知り得たものは、
何といっても蘭学です。
杉田玄白の『解体新書』に代表される医学、
志筑忠雄らによる天文学、物理学
平賀源内のエレキテルで有名な様々な科学、などなど。
そして、世界の動向です。
フランス革命やロシアの勃興、大英帝国の世界侵攻、
ナポレオンの政権樹立や清国のアヘン戦争、
これら、みーんな、出島経由で入ってきた情報です。
もし、出島が無かったら・・・
おそらく日本という国は
世界から3周半ぐらい遅れまくった無知の国として、
開国や明治維新のあり方にも影響があったかもしれません。
さてさて、ここであなたに質問です。
「あなたには出島がありますか?」
日常とは違う情報の入り口、
日常とは違う人との触れ合い、
日常とは離れた空間、
あるいは、考えもしなかったような体験をして
価値観がバージョンアップされるような機会のことです。
私たちは、よほど気をつけないと、
無意識のうちに鎖国をしているのかもしれません。