将棋界で史上初の「タイトル7冠独占」を成し遂げた
最強の棋士、羽生善治さんの話です。
対局中に次の一手をどう打つか、
どんなに考えても良い案が浮かばないとき、
羽生さんは将棋盤をひっくり返すそうです。
いやいや、
星一徹のちゃぶ台返しではなく(古いっすか?)、
頭の中で将棋盤を180°回転させて、
対戦相手側から勝負を見てみるという意味です。
このような視点の切り替えをやってみると、
見えなかったものが見えてくることがあるとか。
プロ棋士は様々な工夫をしているんですね。
私たちも、相手との関係が
うまくいかなくなってしまったとき、
自分の視点でばかり物事を見ていると、
考え方が固定されてしまい、
にっちもさっちもいかなくなることがよくあります。
そんなとき、
「あー、やってらんない!」と叫んで
ちゃぶ台をひっくり返す前に、
羽生さんのように将棋盤をひっくり返してみるという
発想はいかがでしょうか。
どんな言動にも人それぞれの理由がありますので、
それまで理解不能と感じていた相手の気持ちが、
少し分かるような気がすることがあります。
何にこだわっているのか?
何を守ろうとしているのか?
自分をどう見ているのか?
それに共感するとかしないとかではなく、
理解できないことが少しでも理解できると、
それだけでストレスが軽減され、
冷静さが呼び戻されます。
俗に言う「相手の立場に立て見る」つうこってす。
でもまあ、そうはいってもここまでは
「よくある話、チャンチャン」の範疇です。
実は、人間関係がこじれたときに役に立つ
もうひとつの視点の変え方があります。
それは、将棋盤を「90°」回転させるのです。
180°ではなく真横になるように「90°」です。
つまり、対局を観戦している
第三者の目で見てみるのです。
そうすると、
「この二人、何やってんだか・・・」とか
「あーあ、意地張り合っちゃって」とか、
「結局、言っていること同じじゃん」とか
「どっちも、かっこ悪~い」とか、
二人には見えないものが見えてきたりします。
んで、気づいたことを、
対局中の自分にアドバイスしてあげればいいんです。
コーチングでは、
「視点を変える」というスキルとして、
例えばこのような手法で四方八方からものを見て
クライアントさんの発想を広げたり、
気づきを促したりすることがあります。
場所を変えるだけでなく、
時間を変えてみたり、
レベルを変えてみたり、
意味を変えてみたり、などなど。
もちろん、自分自身に対するセルフコーチングでも、
視点を変えてみると、
「ああ、そういうことか・・・」
なんて気づきが起きることがあります。
勝者と敗者が必ず決まる将棋と違って、
人間関係の場合は、
工夫によって両方が勝者になるWin-Winの状態を
作り出すことができます。
たまには、あっちこっちから
将棋盤を眺めてみてはいかがでしょうか。