個人タクシーの運転手さんのベンツ購入の決断

├決断力を高める

 

もう随分前の話ですが、
うっかり終電を逃してしまって
泣く泣くタクシーで帰宅したときのことです。

 

道路を渡った反対車線のタクシーの溜まり場に行こうと、
信号待ちをしているとき、
横断歩道近くにポツンと1台止まっていた
個人タクシーに目をやると、

ベ、ベ、ベンツではありませんか。

 

反対方向ですが、迷わず乗り込んでしまいました。

 

 

加速、コーナリング、クッションなど、乗り心地は抜群、
エアバッグが20個以上装備されているという安全性、
すっかりいい気持ちで帰宅の途に就いたのですが、
運転手さんが話してくれた「ベンツ購入物語」
とても面白かったのでご紹介しますね。

 

 

こういう話です。

 

 

数十年間、タクシー会社で働いたのちに
独立しようとしたとき、
ベンツを購入するかどうか迷っていた。

 

なぜなら、これまでの経験から、
タクシーの溜まり場から乗る夜の長距離のお客さんは、
グレードの高い車種をわざわざ選んで乗ることが多いことを、
知っていたから。

 

女性と酔っ払いはそうでもないが、
恒常的に残業で遅くなる「仕事人」にその傾向がある。

 

だから、ベンツなら当然、国産車よりも選ばれる確率は高く、
収入も増えることは容易に想像がつく。

 

問題は、大金はたいてベンツを買っても、
それに見合うほどの収入増になるのか? という点。

 

 

 

 

そこで、非番の夜、
タクシーの溜まり場の反対車線に自分の車を止めて、
無条件に先頭の車に乗る人とわざわざ車を選んで乗る人の
割合を数日間にわたって調査した。

 

調査結果を元にシミュレーションをすると、
「十数年で元はとれる!」という確信を得ることができた。

 

 

この話、聞いていて感動しました。

 

証券会社時代、
「仮説を立てて、それを検証する」
徹底的にこれを繰り返すことが新しいものを生み出す、
ということを、みっちりと仕込まれた経験があります。

 

タクシーの運転手さんが独立するに当たって、
たったひとりでそれをやって、
生活をかけてベンツ購入を決断した!

 

このストーリーが実にいい。

 

しかし、もう一つ大きなハードルがあったそうです。
奥様の説得です。

 

以下、また運転手さんの話です。

 

奥様に話を切り出したときは、
「なに馬鹿なこと言ってるの!」と
まったく相手にしてもらえなかった。

そこで、調査現場に同行してもらい
「お客さんがどの車に乗るかよく見ておけ」と言って、
車種を選ぶ人が少なからずいることを実際に見てもらった。

その上で、シミュレーションをもう一度説明して、
なんとか了解してもらった。

 

このくだりも、いい話です。

 

 

「で、予定通りにうまくいっているのですか?」
とお聞きすると、
悪い想定外が1つ、良い想定外が1つとのこと。

 

悪い方は、
何せベンツだから、次々と客が選んでくれて、
他の個人タクシー仲間から
「ここで客待ちをするのは勘弁してくれ」と、
場所を追い出されたこと。

 

だから、反対車線に1台ポツンと止まっていたんですね。

 

良い方は、リピーターのお客さんが増えただけでなく、
そのうち何人もが、休日の接待ゴルフの送り迎えに
定期的に使ってくれるようになったこと。

 

接待先のお客様も「えっ、ベンツ」と喜んで下さる。

 

安定した固定客ができたことで、
ローンの返済も計画通りにいっているとのことでした。

 

いま、東京には5台の個人タクシーのベンツが
登録されているそうです。

 

こういう運転手さんは、なんか応援したくなります。

 

 

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