JAXAの宇宙飛行士の採用試験

├チームワーク

 

JAXAでは、数年に一度、
宇宙飛行士の募集を行います。

 

最近では平成20年度に、
国際宇宙ステーションに搭乗する
日本人宇宙飛行士の募集がなされ、
大西卓哉さん、油井亀美也さんの
2人が採用されています。

 

JAXAのHPによると、

応募者総数963名

書類選考通過者230名

筆記試験や心理検査などによる1次選抜の通過者50名

面接中心の2次選抜の通過者10名

こんな具合で絞り込まれています。

 

さて、残った10名に対する3次選抜ですが、
当時、採用試験に携わったJAXAの山口孝夫さんが、
その著書の中で以下のようなことを紹介しています。

 

+++++

 

3次選抜では、
国際宇宙ステーションと同じ大きさの密室(バス2台分)で
10人が7日間を共に過ごす「閉鎖試験」を行う。

 

24時間、全ての行動がカメラで監視されている状況下で、
候補者たちに、いくつもの困難な課題を与える。

 

時には、強いストレスを与えるために
わざと理不尽な要求もする。

 

課題に取り組む様子から
各候補者の仕事力や人間性、
心理的特性や思考形態などを
審査員が厳しくチェックする。

 

+++++

 

私なんか、もう、考えただけでも
吐きそうになりますわ。

 

でも、私が面白いなと思ったのは、
7日間の閉鎖試験終了後、
10名の候補者に対して
次のような質問がなされることです。

 

「あなたは、あなた以外の2人と一緒に宇宙に行けるとしたら、
 誰と一緒に行きたいですか?」

 

自分以外の2人の名前を、
審査員に報告するわけです。

 

ミッションクリアのために
命を懸けて、共に宇宙で
長期間滞在する仲間ですから、

実力のある人、

リーダーシップのある人、

胆力のある人、

協調性のある人、

気持ちに配慮ができる人など、

さまざまなことが

頭をよぎるでしょうが、

 

ストレートに言えば、
「一緒に仕事をしたい人」なわけです。

 

実際に一緒に仕事をした人たちの意見を参考にする、
合理的な選考システムだと思います。

 

 

 

 

この話で私が思い出したのは、
外資系企業がよく行う、採用候補者に関する
「レファレンス」です。

 

簡単に言うと、
最終的な採用候補者に対する
正式決定直前の「裏取り調査」です。

 

「かつて、あなたの部下だったAさんが、
当社の採用の最終候補者となっています。
ついては、Aさんについてお話を伺えませんでしょうか。」

 

ということで、
本人の職歴確認から始まって(ウソを言っていないか)、
専門性、仕事への姿勢、人間関係力、リーダーシップ、
コミュニケーション力、ストレス耐久性、向上心など、
30分程度意見を聞かれます。

 

もちろんAさんの同意のもと、
本人から事前に依頼があった上でのことです。

 

私も、かつての部下の転職に際して、
何度かレファレンスに協力したことがあります。

 

聞かれる内容は会社によって多少違いますが、
最後には、判で押したように
本当に、本当に、本当に、いつも同じ質問が来ます。

 

 

「あなたは、もし機会があれば
 もう一度、Aさんと一緒に働きたいと思いますか?」

 

これまでは、幸いにも肯定的なコメントが
できる部下たちだったので、
正直に「はい!」と答えています。

 

 

JAXAの宇宙飛行士採用の話を知った時、
「おお、一緒やんけ!」と思ったんですが、

その後、

「自分は、はたして一緒に働きたいと
 思ってもらっているのか?」

ということをあらためて考えています。

 

 

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