管理職はマネジメントに専念すべきか?

■ジョブ型雇用を生き抜く

 

今回は「マネジメント」についてです。
「管理職はマネジメント業務に専念すべきでしょうか?」
かつてこのような相談を受けたことがあります。

その会社の組織運営の考え方や、
課長なのか部長なのかによっても違ってくるとは思うんですが、
まあ、そこんとこを十二分に承知した上で、あえてアドバイスをするなら、

「絶対にプレーヤーの座を手放してはいけない!」

です。

 

ビジネス本の著者やコンサルタントのなかには、
「管理職はマネジメントに徹するべし!」
と主張される方がたくさんいます」

だいたい、次のような理由です。

・チーム運営は現場の業務よりもはるかに難易度の高い業務である、
なめんじゃねーぞ!

・いつまでも自分が第一線にいるのではなく、部下にチャンスを与えるべき、
何より部下育成!

・企画や提案などの上位の仕事に集中すべし、
私も長いマネジメント経験から、どれも一理あるとは思います。
それでもあえて、もう一回主張します。

「絶対にプレーヤーの座を手放してはいけない!!」

 

まず、
仕事ができる優秀な社員だから管理職に登用されたのであって、
その優秀な社員イコール自分を戦力から外す理由など
どこにもないということ。

昨年、三冠王を取った強打者が、今年監督になったからといって、
急にプレーヤーの座を降りるわけはないですよね。

チームが勝つために、当然のように、
今年もバッターボックスに立つでしょう。

何より、現場感覚なくして
管理職としての正しい判断などできません。

 

次に部下の育成ですが、マネジメントの時間を割くために、
これまでの仕事の半分ぐらいまでは部下に移管して、
チャンスを与えればよいのでは。

高い専門力を持ったプレーヤーとしての自分の仕事ぶりを
部下に見せ続けることも、彼らにとっての最高の学習の機会です。

 

そしてまた、自分自身のためです。

課長に昇格するような優秀な社員は、その後も部長、
もしかしたら役員へとマネジメント畑を歩んでいく可能性があるある・・・
というのは、昔の話ですわ。

課長といえども、いつまた現場に戻されるかもしれないし、
リストラで再就職を余儀なくされるかもしれません。

より良い環境を求めて自ら転職をするかもしれません。

その時にものをいうのは、断じてマネジメント・スキルではなく、
「高い専門力」です。

いったんプレーヤーの座から下りてしまうと、
それを維持するのは至難の業です。

 

私は外資系に長くいましたが、
本社の社長と一握りの経営陣を除いては、役員でも部長でも課長でも、
当然のように、全員がプレーイング・マネージャーでした。

かといって、彼らがマネジメントをおろそかにしているわけではなく、
チームの成果を最大化するために、
おそらく日本企業以上に人のマネジメントにエネルギーを注いでいました。

自分が実現したいことについては、上司に向けての企画・提案も
ガンガンやっていました。

それが、勝負に勝つためのベストな選択なわけです。

 

日本企業でも、
優良な中堅企業やベンチャー企業の経営者の方と話をしていると、
彼らのマネジメントが外資系のそれに近いことに気づきます。

 

会社の規模の問題というよりは、自分の人材価値を高めながら
ビジネスに勝つ、という強い覚悟が根底にあるような気がします。

 

「管理職はマネジメント業務に専念」というのは、
雇用を保証する代わりに会社にとって都合のいい人材になるこ
とを求めてきた日本の大企業特有の発想ではないかと思います。

いま、企業が雇用を保証できなくなってきたにも関わらず、
「マネジメント業務に専念」の部分だけを押しつけるのは、
個人の市場価値に配慮しない企業都合の勝手な論理ではないでしょうか。

 

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