キャリアデザインに一石を投じる「キャリア・カオス理論」

├偶然のマネジメント

 

「キャリアデザイン」って言葉を聞いたことありますか?

 

自分の将来のキャリア、
つまり、どのような仕事をどのような立場でしていくのか、
ちゃんとデザインしましょう、

つうことです。

 

 

企業研修などで取り扱われるときの流れは、
ざっくりですけど、

 

自分の強みや弱みを自覚しましょう

自分の価値観などを明確にしましょう

将来の成りたいイメージを描きましょう

たとえば、「10年後に自分がどのようになっていたいですか?」
とか考えてみましょう

そこへ向けて業務スキルの向上を図ったり、
業務経験を積んだり、
そのための会社への自己申告に役立てたりしましょう。

 

とまあこんな感じでしょうか。

 

これまで、そんなこと全く考える機会がなかった人に対しては、
将来を考えるためのきっかけを与えることになります。

 

 

 

一見よさげな感じですが・・・・・

 

私はこのキャリアデザインということに対して、
その効果に疑問を持っています。

 

自分の強みと弱みを知ることは、
自己理解という点ではもちろん大事です。

 

自分の価値観を認識することは、
自己理解のみならず、行動のぶれをなくしたり
モチベーションなどのセルフ・マネジメントの観点からも重要なことです。

 

しかし、強みや価値観を、
具体的な職業にピタッとマッチングさせること、

 

これって、現実問題として本当に狙ってできることなのでしょうか。

 

 

 

10年後の自己イメージを描くことも、
発想、視野を広げるという観点からは一つの方法です。

 

でも、これまでの仕事があっという間に無くなってしまったり、
海外へ移転したりする一方で、
考えもしなかったような新しい仕事が次々と生まれる世の中です。

 

今の常識で10年後の自分のイメージを描くことが、
職業選択という観点から本当にどれぐらい意味があるのでしょうか?

 

つまり、どれだけ綿密にキャリアデザインを描いても、
世の中の変化スピードが速すぎて、
デザイン通りにいかないことの方が
圧倒的に多いのではないでしょうか。

 

むしろ、キャリアデザインが
かえって自分を束縛してしまうかも知れません。

 

キャリアデザインという考え方の背景には
様々な「キャリア理論」があります。

 

私もイチオウ、

厚生労働省指定キャリアコンサルタントなんとかかんとか試験に合格しており、
まるっきりの素人というわけではないので・・・はい。

 

 

 

資格取得した当時のテキストにはなかった最近の新しい潮流の一つに、

オーストラリアの学者であるブライトさんとプライヤーさんによる
「キャリア・カオス理論」というものがあります。

 

カオスは混沌という意味ですが、要するに、
世の中複雑系でカオス状態につき、
キャリアにおける長期目標の設定はあまり意味を持たない、

ってことです。

 

 

自分の特性を把握して、将来のキャリアを目指して、
計画的にやるべきことをやっていくというのは、
これまでのキャリア理論では正当な方法の一つとされてきました。

 

 

しかし、ブライトさん&プライヤーさんは、
そうした方法は短期的には効果があるかも知れないが、
長期的にはどんなもんでっしゃろか!

と言っています。

 

 

長期的な目標を設定して
それを実現するするスタイルの限界を指摘しているわけで、
これ、私の感覚に非常によくフィットします。

 

 

どんどん変わりゆく社会のなかでは、
何が起きるか、どんな職業機会があるか、
どんな出会いがあるか、わからんわけです。

 

キャリアデザインのような設計図を描くことよりも、
むしろ何が起きるかわからないことを前提とした上で、
何が起きても何とか対応できる「対応力!」、
これを身につけることの方が何倍も重要だと思うんです。

 

 

この「対応力」については書き始めるときりがないのですが、
今度のセミナーのなかでもちょこっと触れようかな、と思っています。

 

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