方法論を学ぶときに気をつけるべきこと

├学習能力を高める

 

証券会社で資産運用の仕事をしていたときのことです。

 

業界関係者を対象としたセミナーで、
ある研究機関の研究員Pさんが、
データ分析による新しい資産運用の手法について
研究成果を発表しました。

 

Pさんの話は視点が新鮮で面白いなとは思ったのですが、
当時の私は、
資産運用は理屈どおりにはいかないということを、
現場で嫌というほど思い知らされていました。

 

話を聴きながらも、
実務的な観点からの詰めの甘さが気になって、
「理屈はわかるが、これじゃ使えないよな・・・」
という感想を持ったのです。

 

 

セミナー終了後に、たまたま見つけた
同業者のAさんと立ち話をしました。

 

私と同様の立場で仕事をしているAさんですから、
似たような感想だろうと思っていたのですが、
彼は、開口一番こう言うのです。

 

「いやー、Pさんの話、よかったよね!」

 

「えっ・・・」

 

Aさんは話を続けます。

 

「目の付け所がいい。分析に使ったデータは、
膨大な手間と時間をかけて情報を集めて、苦労しながら作っているよね。

まだ不完全だから、すぐに実用化は無理だけど、
精度が増してくると、面白い発見があるかもしれないな。
共同で何かできないか話してみようと思っている」

 

私は何も言うことができませんでした。

上から目線で「使えるのか使えないのか」
ということのみを偉そうに判断しようとした私と違って、
Aさんは、
「どうしたら使えるか」「何が学べるか」という
学習の視点で聴いていたのです。

 

その時のことを思い出して、
こんなことを考えるようになりました。

人が情報に触れるときのセンサーには、
「判断センサー」と「学習センサー」があります。

 

物事をうまく進めていくための方法論を知ることは
とても大切なことです。

 

しかし、情報に対して、「使えるか使えないか」といった
二者択一の「判断センサー」で見てしまうと、
得られるものは限定的になってしまいます。

 

一方で、

「どうしたら使えるようになるのか」

「もっと自分に合ったものにするにはどうしたらよいのか」

「そこから何が学べるのか」

といった「学習センサー」で触れると、
無限の可能性が広がってきます。

 

方法論は、所詮、他人の考えたものであり、
誰もがそれでうまくいくはずもなく、
いつまでもそれでうまくいくこともありません。

立場や環境や時間の変化に伴って、
効果性は変わってくるものです。

「判断センサー」のみでものを見ていると、
「使える、使えない」の判断を下すための対象を
際限なく追い続けなければなりません。

なぜならば、
「すぐ使えるものは、すぐ使えなくなる」
からです。

 

いま目の前に提示された方法論に対しては、
いま使えるかどうかで判断するのに加えて、

どうしたら使えるのか、
どうしたらもっと自分に合うようにできるのか、

といった「学習センサー」で見る習慣を持つことが大切です。

 

環境変化が起きても、
自分にとって役に立つものであり続けるよう
自分で変えていく力を養うことが必要だからです。

 

「それはウチでは使えない」と思ったときが、
「学習センサー」のスイッチを入れる
絶好のチャンスです。

 

 

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