本質的な問題が解決しない「街灯シンドローム」

├問題解決力を高める

 

今回は、まずショート・ストーリーをひとつ。

 

+++++

仕事で遅くなった日の夜、
Aさんは帰宅への道を急いでいました。

 

自宅近くまで来たところ、
街灯の下で男が下を向いてウロウロしています。

 

通りすがりに
「どうかしましたか?」と尋ねると、
「家の鍵を落としてしまったんです」

 

それは大変だと思い、
「お手伝いしましょう」と、一緒に探し始めました。

 

何分か探したのですが一向に見つかりません。

 

「鍵を落とした場所がもっと正確に分かりませんか?」と
Aさんが聞くと、男は
「はい、あっちのアパートの前です」と、薄暗い道を指差しました。

 

「えっ?じゃ、なぜこんな所を探しているのですか?」

「だって、ここの方が明るいじゃないですか」

 

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私たちは問題に直面したとき、
ついつい簡単に対応できそうなことのみに目を向けて、
楽に解決しようとしてしまうことがあります。

 

「本当は、 そこじゃないんだけどな・・・」と、
心では感じていても、何だかんだと理由を付けて、
そこから目をそらしてしまう。

 

で、結局、本質的な問題は解決されずに、
また、「そこじゃないんだけどな・・・」という場所で探し続ける。

 

街灯の下で鍵を探している男と同じように、
簡単な答えで済ませて本質に目を向けない
「街灯シンドローム」です。

 

上司が部下の「街灯シンドローム」を誘発することもあります。

 

部下がミスをしたときに、
「なぜだ!」「どうしてだ!」と威圧的に問い詰めすぎると、
部下は、そのプレッシャーから逃げたい一心で、
答えやすい回答を探してしまいます。

 

「私の不注意でした」

「気がつきませんでした」

「確認不足でした」

 

もちろん、それに懲りて、ミスをしなくなることもあります

 

しかし、その後も同じミスが発生する場合は、
本質的な問題の所在を見誤っていることがあります。

 

もっと、構造的な問題や仕組みの不備、
人間関係的なことかもしれません。

 

部下のその場しのぎの言葉を真に受けて、
あるはずのない鍵を街灯の下で探し続けている
「街灯シンドローム」に陥っています。

 

 

問題を可決するための上司の現場感覚とは、
部下と同じ視点でものを見るということではありません。

 

自分の経験に裏打ちされた、部下とはまた違った視点で
現場を見るということです。

 

 

そうしないと、

チーム全体が「街灯シンドローム」に陥って、
暗闇にある正解に気付かないまま、
いたずらに、時間だけが過ぎることになります。

 

 

 

「それは本当だろうか?」

「他に答えはないのだろうか?」

「なぜ部下はそう言うのだろうか?」

 

上司は、たとえばこのような言葉を
常に自分に投げかける習慣を持つとよいのではないでしょうか。

 

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